ぶらり、散歩に読書 ミチクサノオト

『ゴールド』再来、信用揺らぐ通貨」について(2026-1-14 新聞記事)

『ゴールド』再来、信用揺らぐ通貨」について、論点の整理と内容の解説、およびなぜこのような強い論調で語られているのかを詳しく解説します。
1. 記事の論点整理と内容解説
この記事は、歴史的な金(ゴールド)価格の高騰を切り口に、現代の「お金(法定通貨)」と「国家」が直面している危機を浮き彫りにしています。主な論点は以下の4点です。
* 論点①:金価格の歴史的高騰とその実態
* ニューヨーク市場で1オンス=4600ドル、日本でも1グラム=2万5000円超と、過去最高値を更新。
* この高騰により、従来は採算が合わなかった低品位の岩石(ズリ扱いだったもの)も「金鉱石」として価値を持つようになり、日本の菱刈鉱山など現場の基準が変わるほどの影響が出ている。
* 論点②:法定通貨の「一人負け」状態
* 金、不動産、暗号資産(ビットコイン)などあらゆる資産の価格が上がる一方で、円やドルの価値が相対的に下落している。
* 1970年代と比較すると、ドルや円の価値は金に対して「10分の1以下」にまで目減りしている(物価調整済み)。
* 論点③:国家による「借金」の膨張と規律の喪失
* リーマン・ショックやコロナ禍を経て、各国政府は大規模な財政出動(借金)と金融緩和(通貨の増発)を繰り返した。
* その結果、世界の政府債務は2025年末で約110兆ドル(約1.7京円)という天文学的な数字に達している。
* 論点④:将来へのツケ払いとインフレによる解決
* 膨大な債務を抱えた国は、増税ではなく「通貨をさらに刷ってインフレを起こす」ことで、借金の実質的な価値を減らそうとする。
* これは国民が持つ現金資産の価値を奪うことと同義であり、市場はこれを敏感に察知して金に逃げている。
2. 「ゴールド再来、信用揺らぐ通貨」という論調の背景
なぜこの記事が「通貨の信用が揺らいでいる」「ゴールドの再来だ」という非常に強い、あるいは警告に近い論調になっているのか。その理由は、私たちが使っている**「お金」の仕組みの根幹が揺らいでいるから**です。
① 「国家の約束」への疑念
現在の通貨(ドルや円)は、金との交換が保証されていない「管理通貨制度」です。この制度は、**「政府や中央銀行が通貨の価値を適切にコントロールする」という信頼(約束)**の上に成り立っています。
しかし、記事にあるトランプ政権の利下げ圧力や、日本の「積極財政」の継続などは、政治の都合で通貨の価値が二の次にされている状況を示唆しています。「国家はもう自分たちの通貨の価値を守ってくれないのではないか」という不信感が、この論調の根底にあります。
② 「性善説」の限界
経済アナリストの豊島逸夫氏が指摘するように、現在の制度は「人間(政治家や当局者)は判断を誤らない」という性善説に基づいています。
しかし現実には、選挙を意識する政治家は「増税」や「痛みを伴う改革」を避け、安易な「借金と通貨増発」に頼ってしまいます。金価格の上昇は、こうした**「人間の弱さ・愚かさ」に対する市場からの厳しい評価**(=人間が管理するお金より、自然界に存在する金を信じる)と捉えられています。
③ インフレという「静かなる没収」
国家が借金を帳消しにする最も簡単な方法は、インフレを起こして通貨価値を下げることです。
例えば、100兆円の借金があっても、物価と通貨量を2倍にすれば、借金の重みは実質半分になります。しかし、これは貯金をしている国民からすれば、資産が半分になったのと同じです。記事は、金価格の急騰を「政府による資産の目減りから逃れるための防衛本能」として描いているため、このような危機感を煽る論調になっています。
まとめ
この記事は、単に「金が高くなって儲かる」という話ではなく、**「私たちが絶対的だと信じていた『お金(円やドル)』が、実は国家の膨大な借金によって砂上の楼閣になりつつあるのではないか」**という構造的な不安を突いています。
「ゴールド再来」とは、皮肉にも「人間が管理するシステム(通貨)が失敗し、中世以前のような『実物資産(金)』しか信じられない時代に逆戻りしている」という、文明的な皮肉を込めた表現であると言えます。

カテゴリー

月別アーカイブ

TOP