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「公会計改革が、まちの価値創造とどう向き合うべきか」

「公会計改革が、まちの価値創造とどう向き合うべきか」

習志野市における社会教育施設の統合(プラッツ習志野)や指定管理者制度の導入の経緯において、行政コスト計算書に基づく資産評価や老朽化指標が意思決定の根拠となった一方で、社会教育施設が果たしてきた文化的・社会的価値の定性的評価が十分に行われなかったというご指摘は、まさに公会計改革の片翼飛行の危うさを示しています。


公会計改革の「正しい理解」とは何か

1. コスト情報は「価値判断の補助線」であって、目的ではない

行政コスト計算書や貸借対照表は、確かに施設の維持管理費や減価償却費、資産の老朽化率などを可視化し、財政的な持続可能性を問う強力なツールです。しかし、それはあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。

公会計の本旨は、「限られた資源を、最大の公共的価値に変える」ための意思決定を支えることにあります。

したがって、施設の統廃合や委託化の判断においては、財務的コストだけでなく、社会的・文化的・教育的価値の評価が不可欠です。


2. 社会教育施設の価値は「見えにくい資産」

社会教育施設は、単なる建物ではなく、以下のような非貨幣的価値を内包しています:

  • 地域住民の学びと交流の場
  • 世代間のつながりを育む空間
  • 地域文化の継承と創造の拠点
  • 災害時の避難・支援の基盤

これらは、行政コスト計算書には「費用」として現れても、「価値」としては可視化されにくい。
しかし、まちのレジリエンスや文化的厚み、社会的包摂力といった観点から見れば、極めて重要な資産です。


3. 「価値創造の視点」を組み込んだ公会計の再構築へ

今後、公会計改革を正しく進めるためには、次のような補完的視点が必要です:

定量と定性の統合

  • 財務書類(定量)+ 社会的インパクト評価(定性)を組み合わせた意思決定
  • 例:施設の利用者数、満足度、地域活動数、文化的波及効果などの指標化

「行政コスト」から「公共価値」への転換

  • 単なるコスト削減ではなく、「この支出がどんな価値を生んでいるか」を問う
  • 例:指定管理者制度の導入が、地域の文化活動や住民自治に与えた影響の検証

「まちの資産」としての施設の再定義

  • 財務的な資産価値だけでなく、「まちの記憶」「市民の誇り」としての価値を評価
  • 例:施設の歴史的意義、地域アイデンティティとの関係性

数字の向こうに、まちの物語を

公会計改革は、まちの未来を見える化するための強力な道具です。
しかし、それは「何を残すか」「何を育てるか」という価値判断と結びついてこそ、真に意味を持ちます。

習志野市がこれから進むべきは、財政の健全性と、まちの価値創造を両立させる経営的まちづくりです。
そのためには、過去の制度導入の経緯を丁寧に振り返り、市民の声と社会的価値を再び中心に据えることが必要です。

この視点をもとに、社会教育施設の再評価や、文化・コミュニティの再生に向けた提案書、政策対話の設計、など,考えることができます。

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