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2026-2-28 責任ある積極財政の原点、勉強会

2026-2-26 責任ある積極財政の原点、勉強会です。

この勉強会「責任ある積極財政の原点整理」(2026226日開催)は、財政政策の転換を目指す議員連盟によるもので、講師には永濱利廣氏(第一生命経済研究所 首席エコノミスト)と会田卓司氏(クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト)が登壇しました。

 勉強会の主な論点と背景

1. 歴史的モデルの再評価

  • 高橋是清(昭和初期)池田勇人(高度成長期)の積極財政政策を参照。
    • 高橋:世界恐慌下での金融緩和・財政出動により国民所得60%増。
    • 池田:「所得倍増計画」による公共投資・減税・社会保障の拡充。

これらを「責任ある積極財政」の原点と位置づけ、現代の政策転換のヒントとする。

2. 現状認識と課題

  • 日本は平成9年以降、実質的な経済成長が停滞
  • 若年層の所得低下が少子化の主因とされ、将来への希望が持てない社会構造に。
  • 「成長しない経済を次世代に残すことは最大の責任放棄」との強い危機感が共有される[^2^]

3. 財政規律 vs 成長投資

  • これまでの「財政健全化」重視の姿勢からの脱却を提唱。
  • 財政赤字を恐れず、官民連携による成長投資と需要創出を重視。
  • 名目GDPの拡大を通じて、税収増・社会保障の充実・国力の強化を目指す。

4. 今後の展望

  • 勉強会の成果をもとに、「骨太の方針」への提言を検討中[^3^]
  • 議連のメンバーは121人に拡大し、政策転換への党内支持を強化。

永濱利廣氏会田卓司氏の講演内容を、以下のように整理してみました。


永濱利廣氏の講演ポイント(第一生命経済研究所 首席エコノミスト)

1. デフレ脱却と財政の役割

  • 日本は長期にわたるデフレと低成長に苦しんできた。
  • 金融政策だけでは限界があり、財政政策による需要創出が不可欠
  • 特に「民間が投資しにくい分野」において、政府の積極的な支出が成長の呼び水になる。

2. 財政赤字のに注目

  • 単なる支出拡大ではなく、「将来の成長を生む投資的支出」が重要。
  • 例:子育て支援、教育、インフラ整備、脱炭素・デジタル投資など。

3. 国債発行の持続可能性

  • 日本は自国通貨建て国債であり、財政破綻のリスクは限定的
  • 名目GDPが拡大すれば、債務残高の対GDP比は自然に改善する。

 会田卓司氏の講演ポイント(クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト)

1. 「財政健全化」論の再検討

  • プライマリーバランス黒字化目標は、経済成長を犠牲にしてきた
  • 成長なき財政健全化は、かえって税収減・社会不安を招く。

2. 高橋是清モデルの再評価

  • 昭和初期の積極財政は、短期間で景気回復と所得増を実現。
  • 現代でも、インフレ率が低く、金利が抑えられている今こそチャンス

3. 「責任ある積極財政」とは

  • 無制限なバラマキではなく、戦略的・選択的な財政出動
  • 目的は「将来世代に希望を残すこと」であり、短期的な財政赤字はそのための手段

議連の政策提言の方向性

  • 「骨太の方針」への反映を目指し、以下のような提言が検討されています:
    • プライマリーバランス黒字化目標の見直し
    • 成長投資に重点を置いた予算編成
    • 子育て・教育・医療など未来への投資の拡充
    • 財政のを評価する新たな指標の導入

「どうすれば人々が将来に希望を持てる社会をつくれるか」。この勉強会の議論を踏まえて、その問いに向き合うために私たちが持つべき知見を、いくつかの視点から整理してみます。


1. 経済の成長とは何かを問い直す視点

  • 量的成長(GDPの拡大)だけでなく、質的成長(生活の豊かさ、安心、選択肢の広がり)をどう実現するか。
  • 成長の果実が誰に、どのように分配されるかを重視する視点。
  • 「成長なき分配」ではなく、「分配を通じた成長」への転換。

つまり、数字の上の成長だけでなく、暮らしの実感としてのよくなるをどうつくるかがカギだね。


 2. 財政の責任とは何かを再定義する視点

  • 「責任ある財政」とは、単に赤字を減らすことではなく、将来世代に持続可能な社会を残すこと
  • そのためには、今の世代が必要な投資を怠らないこともまた責任。
  • 特に、子育て・教育・医療・インフラ・環境など、将来の土台をつくる分野への支出は「浪費」ではなく「投資」。

 未来の森を育てるには、今、種をまいて水をやらなきゃね。


 3. 経済政策の道具箱を広げる知見

  • 金融政策(利下げ・量的緩和)だけでなく、財政政策(政府支出・減税)の役割を正しく理解する。
  • 「財政赤字=悪」という単純な見方ではなく、赤字の中身と目的を問う
  • 国債の仕組みや金利の動向、インフレ率との関係など、マクロ経済の基本的な構造を知ること。

4. 社会的連帯と信頼の再構築

  • 将来に希望を持てる社会とは、孤立せず、支え合える社会
  • 財政政策は、単なる経済の話ではなく、人と人とのつながりをどう支えるかという倫理的な問いでもある。
  • 「誰ひとり取り残さない」社会を目指すには、制度設計と価値観の両輪が必要。

 5. 歴史から学ぶ知恵

  • 高橋是清や池田勇人の政策は、危機の時代における果断な選択の好例。
  • 歴史を知ることで、今の状況を相対化し、可能性の幅を広げることができる。

こうした知見を持つことで、単なる「賛成・反対」ではなく、自分の言葉で未来を語る力が育っていきます

将来に希望を持てる社会を築くための実践的な政策議論を深めるには、以下のような文献や議論がとても参考になります。今回の勉強会で講演した永濱利廣氏会田卓司氏の著作や提言を中心にご紹介します。


 推奨文献と資料

1. 永濱利廣 著『お金と経済:日本の生産性を高める仕組みと法則』(2025年)

  • マクロ経済の基本をやさしく解説しながら、生産性向上と経済成長の鍵を探る一冊。
  • 財政赤字や国債に対する誤解を解き、政府・企業・家計の三者の関係性から経済全体を俯瞰。
  • 「未来に備えるお金の教養」を育てる入門書としてもおすすめです[^turn0search1^]

2. 会田卓司・榊原可人 共著『日本経済の新しい見方』(きんざい)

  • 「デフレはなぜ悪いのか」「日本の財政赤字は本当に問題か?」といった素朴な疑問に、データと論理で答える
  • 積極財政と金融緩和のポリシーミックスによる「新しい資本主義」の可能性を提起。
  • 企業貯蓄率の正常化(マイナス化)を通じた内需回復とデフレ脱却の道筋を描く[^turn0search7^]

関連する政策提言と議論

3. 「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の提言(2025年〜2026年)

  • プライマリーバランス黒字化目標の撤廃を求め、成長投資を優先する財政運営を提案。
  • 「真水25兆円規模の戦略的補正予算」や「骨太の方針」への提言を通じて、財政のを問う新たな規律を模索。
  • 企業と政府の支出力を合わせた「ネットの資金需要」を新たな財政指標とすることを提案[^turn0search4^]

深めるための視点と問い

これらの文献や提言を読む際には、以下のような問いを意識すると理解が深まります:

  • 「成長」とは誰の、何の成長か?それはどのように測られるべきか?
  • 財政赤字はなぜ問題視されるのか?その前提は妥当か?
  • 政策が希望を生むとはどういうことか?希望の源泉は何か?
  • 歴史的に成功した積極財政の条件は?現代にどう応用できるか?

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