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「総務省方式の公会計は、歳入歳出会計の補完にとどまり、“経営化”には至っていない」 という問題

2026-6-19  桜内文丈氏の公会計改革の報告を受けて
「総務省方式の公会計は、歳入歳出会計の補完にとどまり、“経営化”には至っていない」 という問題は、まさに地方公会計改革の核心的論点です。

以下では、政策分析スタイル(構造化・比較・制度史・実務接続)に合わせて、
論点整理 → 背景 → なぜ経営化しないのか → 何が欠けているのか → どうすれば経営化できるのか
の順にまとめます。


結論(最重要ポイント)

総務省方式の公会計は、
「財務書類を作る制度」にはなったが、「財務書類を使う制度」にはなっていない。

理由は3つ。

  1. 制度目的が“財政健全化の補完”に限定されている
  2. 財務書類が予算制度(歳入歳出会計)と連動していない
  3. 成果指標・事業評価・資産管理と結びつく“経営サイクル”が制度化されていない

そのため、自治体は「経営化」できず、
公会計は“作業”であって“経営の道具”になっていない。


1. 総務省方式の位置づけ(制度の本質)

総務省の公式スタンス

総務省は統一的基準を次のように位置づけている。

  • 歳入歳出会計(現金主義)を中心とする
  • 公会計はあくまで「補完的」
  • 財政健全化判断の参考資料
  • 地方債・基金・財政指標の補助的ツール

つまり、
公会計は“財政の補助資料”であり、“経営の基盤”ではない。


2. なぜ「経営化」につながらないのか(構造的理由)

① 予算制度(現金主義)と公会計(発生主義)が分離している

  • 予算は現金主義
  • 公会計は発生主義
  • 両者は制度的に接続されていない

結果として、

  • 予算編成
  • 事業評価
  • 財政運営
  • 行政マネジメント

のどれも公会計を使わずに完結してしまう。

「公会計を使わなくても自治体運営ができてしまう」

これが最大の制度的欠陥。


② 財務書類が「作成義務」だけで「活用義務」がない

総務省は、

  • 財務書類の作成
  • 公表

は求めるが、

  • 予算編成への活用
  • 事業評価への活用
  • 公共施設マネジメントへの活用
  • 中長期財政計画との連動

は求めていない。

制度が“作るだけ”で終わる。


③ 成果指標(KPI)や事業別コストが制度化されていない

統一的基準では、

  • 行政コスト計算書
  • 貸借対照表
  • 純資産変動計算書

は作るが、

  • 事業別コスト
  • 成果指標(アウトカム)
  • サービス単価
  • 投資評価(NPV、IRR)

などの「経営指標」は制度に含まれていない。

“経営の言語”が制度に組み込まれていない。


④ 公共施設マネジメントとの制度的接続が弱い

本来、公会計は公共施設マネジメントの基盤になるべき。

しかし現状は、

  • 減価償却費
  • 更新費用
  • 将来負担
  • 資産劣化

が財政運営に反映されない。

インフラ老朽化問題が“見えるのに使われない”状態。


3. 結果として何が起きているか(自治体の実態)

あなたの現場感覚とも一致すると思いますが、全国的に次のような状況です。

  • 財務書類は「会計システムが自動生成」
  • 担当課は「提出するだけ」
  • 首長・議会は「見ない」
  • 予算編成は従来通りの“積み上げ方式”
  • 公共施設更新問題は別の部署で議論
  • 財政課は「財政指標(実質公債費比率など)」だけを見る

つまり、
公会計は“制度として存在するが、運営には使われていない”。


4. では「経営化」とは何か(あなたの文脈に合わせて定義)

地方自治体における「経営化」とは、次の状態を指す。

① 公会計が予算編成の基盤になる

  • 減価償却費を予算に反映
  • 更新費用を中長期財政計画に反映
  • 事業別コストを予算査定に使用

② 行政サービスの成果(アウトカム)を測定

  • 図書館1冊あたりのサービスコスト
  • 道路1kmあたりの維持費
  • 学校1校あたりの教育成果

③ 公共施設マネジメントと財政運営が統合

  • 更新費用の平準化
  • 資産劣化の見える化
  • 投資評価(NPV、IRR)による意思決定

④ 財務書類が首長・議会の意思決定資料になる

  • BSの純資産の変化
  • 将来負担比率
  • 資産劣化率
  • 事業別コスト

5. どうすれば「経営化」に進めるのか(政策提案)

政策分析に合わせ、
自治体が“経営化”に進むための4つの制度改革を提示します。

① 公会計と予算制度の接続(最重要)

  • 減価償却費の予算化
  • 更新費用の中長期財政計画への反映
  • 事業別コストの予算査定への導入

② 成果指標(KPI)の制度化

  • 事業別アウトカム指標
  • サービス単価の算定
  • 事業評価制度との統合

③ 公共施設マネジメントとの統合

  • 公会計データをFM(ファシリティマネジメント)に組み込む
  • 資産劣化率・更新費用の見える化
  • 投資評価モデルの導入

④ 財務書類の「活用義務化」

  • 予算書にBS・行政コスト計算書を添付
  • 議会説明資料に財務書類を必須化
  • 首長の施政方針に財務指標を組み込む

6. 自治体(習志野市)での応用ポイント

習志野市は、

  • 公共施設更新問題
  • 財政の中長期的圧迫
  • 公共施設マネジメントの必要性
  • 人口構造の変化

が重なる典型的自治体です。

したがって、
公会計を“経営化”に転換する価値が非常に高い自治体です。

特に、

  • 公共施設更新費の平準化
  • 事業別コストの可視化
  • 財政の持続可能性評価
  • 市民への説明責任の強化

は、将来の政策領域と完全に一致します。


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