ぶらり、散歩に読書 ミチクサノオト

「飛鳥・藤原の宮都」(NHK出版)、と世界遺産登録、について

本書では飛鳥地域の石造物を残さず紹介し、地上に残る古代の文化財(宮殿跡、寺院跡、古墳、陵墓、石造物など)について、自ら歩いて観察する<踏査>を駆使し、地形を読み、文献をひも解き、仮説を検証していきます。図版100点、観光ガイドも務める著者ならではのオリジナル踏査マップも充実。考古学者が実践する推理の追体験が楽しめる一冊です。

【構成】
第1章 石造物の謎を解き明かす <考古学者の視点1>モノをじっくり観察する
第2章 飛鳥京の基準線を探る <考古学者の視点2>都市設計の計画性を解き明かす
第3章 狂心渠をたどる <考古学者の視点3>「芋蔓型」で論を立て展開する
第4章 藤原京の理念を貫く「聖なるライン」を検証する <考古学者の視点4>平面・立面・断面でとらえる
第5章 飛鳥陵墓区の風水を観る <考古学者の視点5>風景を読み取る

本書の全体像

テーマ: 『徹底踏査 飛鳥・藤原の宮都』は、奈良県飛鳥・藤原一帯に残る「地上の痕跡」だけを手がかりに、古代国家の姿を推理していく一冊です。

特徴:

  • 踏査(フィールドワーク): 著者が実際に歩き、石造物・古墳・寺院跡・宮殿跡を観察しながら仮説を立てる。
  • 考古学者の「ものの見方」を伝授: 各章の冒頭で、「考古学者の視点」として調査・推理のコツが紹介される。
  • ビジュアルと地図が豊富: 図版約100点と、観光ガイド経験を生かしたオリジナル踏査マップで、読者自身も歩いて追体験できる構成。

「古代史の本」でもありつつ、「どうやって歴史を推理するか」を体感させてくれる考古学入門+フィールドガイドのような性格を持っています。

各章のねらい(やさしく要約)

1章 石造物の謎を解き明かす

視点1:モノをじっくり観察する

飛鳥に点在する猿石・亀石・二面石など、奇妙な石造物を「形・配置・素材」から徹底的に観察し、その役割や意味を推理します。 「まずは目の前のモノをよく見る」という、考古学の基本姿勢を具体的な事例で学べる章です。

2章 飛鳥京の基準線を探る

視点2:都市設計の計画性を解き明かす

古代官道のまっすぐなラインや、寺院・宮殿の配置を手がかりに、「飛鳥京はどんな設計思想で作られたのか」を探ります。 都市が偶然ではなく、方位や政治的意図を踏まえて計画されていたことを、地形と遺跡の位置関係から読み解きます。

3章 狂心渠をたどる

視点3:「芋蔓型」で論を立て展開する

酒船石や水路跡など、水に関わる遺構を手がかりに、「狂心渠(たぶれごころのみぞ)」と呼ばれた水路の実像に迫ります。 一つの手がかりから次々と関連する証拠をたぐり寄せていく「芋づる式」の思考法が、推理のプロセスとして示されます。

4章 藤原京の理念を貫く「聖なるライン」を検証する

視点4:平面・立面・断面でとらえる

飛鳥に隣接して築かれた藤原京を、「地図上の平面」「建物の高さ」「地形の起伏」という三つの視点から分析し、 都の中心を貫く「聖なるライン」が、どんな政治的・宗教的理念を体現していたのかを検証します。

5章 飛鳥陵墓区の風水を観る

視点5:風景を読み取る

飛鳥周辺の古墳や陵墓の立地を、谷・丘・水系などの地形とセットで眺め、「風水的な発想」がどこまで取り入れられていたのかを探ります。 中国南朝の陵墓との比較も交え、東アジア全体の思想のつながりを、風景から読み解く試みです。

この本で得られる体験

  • 古代史の「現場」を歩いている感覚: 写真・図版・マップが豊富で、ページを追うほど自分も飛鳥を踏査しているような気分になる。
  • 考古学者の頭の中を追体験: 「どう仮説を立て、どう検証するか」が章ごとに整理されているので、推理の筋道が見えやすい。
  • 旅の視点が変わる: 飛鳥・藤原を訪ねるとき、単なる観光ではなく、「地形」「ライン」「風景」を読む楽しみが増える。

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