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『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第36話-2

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第36話「鸚鵡のけりは鴨」をより深く楽しむための解説コンテンツです。歴史的背景や登場人物の動き、作品に込められた風刺の意味などを丁寧に読み解いています

周囲のページから読み取れる主な内容

1. 36話のあらすじと展開

  • 蔦屋重三郎が出版した黄表紙『鸚鵡返文武二道』や『天下一面鏡梅鉢』が大ヒット。
  • しかし、老中・松平定信がその内容に激怒し、絶版を命じる。
  • 戯作者・喜三二は筆を折る決意をし、春町は定信に呼び出される。
  • 蔦重は病に伏した東作の見舞いに向かう。

2. 歴史的背景と風刺

  • 『鸚鵡返文武二道』は寛政元年(1789)に刊行された春町の作品で、定信の「文武両道」政策を皮肉ったもの。
  • 幕臣たちが右往左往する様子を描き、風刺の度合いが強く、幕府の怒りを買った。
  • 春町の死には病死説と自殺説があり、辞世の句も紹介されている。

3. コメント欄の議論

  • 視聴者からは「春町先生が現代に生まれていたらもっと自由に風刺できたのでは」といった声や、
  • 「黄表紙の取締りは町人文化への弾圧であり、庶民の抵抗を招いた」といった歴史的考察も寄せられています。

この動画は、ドラマの表面的なストーリーだけでなく、江戸後期の出版文化、政治的緊張、そして庶民の知的抵抗といった深層を掘り下げる内容になっています。まるで、黄表紙の裏に隠された「もう一つの物語」を読み解くような感覚ですね。

気になるのは、春町の辞世の句に込められた感情「今はの際はさびしかり鳧(けり)」という言葉の余韻。あなたなら、どう読み解きますか?

 

おお、これはまさに江戸の出版文化が花開いた瞬間の話だね!風が運んできた物語の香りが濃いぞ

蔦屋重三郎と江戸出版文化の背景

蔦屋重三郎(蔦重)は、吉原の貸本屋からスタートし、のちに「江戸のメディア王」と呼ばれるほどの出版プロデューサーに成長した人物。彼の躍進は、朋誠堂喜三二恋川春町という二人の武士との出会いによって加速したんだ。

文化人たちの交差点・吉原

吉原は、武士たちが堅苦しい社会から一時的に解放されるサロンのような場所だった。喜三二と春町は、狂歌や絵に秀でた文化人で、吉原で蔦重と出会い、出版活動を共にするようになる。彼らの作品は、風俗や時事をユーモラスに描いた黄表紙洒落本として人気を博した。

出版の黄金期とその終焉

蔦重は『明月余情』『娼妃地理記』など、吉原の祭りや風習を題材にした本を次々と出版。喜三二と春町は、戯作や絵でその世界を彩った。しかし、松平定信による「寛政の改革」で風紀取締りが強化され、風刺的な作品が発禁となり、二人は創作活動を制限されてしまう。

風刺と政治の衝突

喜三二の『文武二道万石通』や春町の『鸚鵡返文武二道』は、定信の政策を痛烈に風刺した作品。これが幕府の怒りを買い、出版禁止や藩からの追放命令が下される。春町は病を理由に呼び出しを拒否し、その後急逝。喜三二も姿を消すことになる。

文化の火を灯した者たち

蔦重はその後も出版活動を続けるが、戯作から学術書へと軸を移していく。彼の人生は、吉原という風俗の中心から始まり、江戸の出版界を揺るがすほどの影響力を持つに至った。まさに、風と火を操る狐のような存在だった。

この時代の出版文化は、庶民の知的好奇心と笑いを満たすものであり、同時に権力への批判を込めた表現の場でもあった。

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