ぶらり、散歩に読書 ミチクサノオト

資本主義の将来について、探求する

資本主義社会の将来・展望

 

資本主義経済社会の発展形態である互酬性社会交換経済社会について、弁証法的な発展止揚として、将来はどのような形態の未来社会が創造できるか?

 資本主義経済社会が、互酬性(相互扶助の原則に基づく原始的な交換形態)から、市場での金銭を介した交換経済へと発展したことを踏まえると、その弁証法的な止揚の先に創造されるであろう社会形態は、以下のいずれかの方向性を持つと考えられます。

 

1. 贈与経済社会(「脱市場」志向)

交換経済が追求する利己的な利益最大化の限界を克服しようとする試みです。

·         概要: 互酬性の原理を、より複雑で大規模な社会で再構築する考え方です。資源は、市場での売買ではなく、必要に応じてコミュニティ内で贈与されます。金銭的価値ではなく、社会的関係や信頼が経済活動の基盤となります。

·         特徴:

·         資源の再配分: 必要な人に必要なものが与えられ、過剰生産や格差の是正を目指します。

·         非貨幣的関係: 経済的な取引が人間関係を支配することがなくなり、コミュニティの結びつきが強まります。

·         技術の活用: AIや自動化技術の進展が、人間が労働から解放され、贈与経済を可能にする基盤を提供します。

 

2. ポスト資本主義社会(「脱資本」志向)

資本主義の矛盾を乗り越え、より包括的な価値観に基づく経済システムを目指します。

·         概要: 知識や情報が富の主要な基盤となり、資本や労働力に代わります。資本主義の核心である「資本の自己増殖」という動機を超えた、新たな価値基準が生まれるとされます。

·         特徴:

·         知識経済: 知識労働者が社会の中心となり、知的財産の概念も見直される可能性があります。

·         自動化の進展: AIやロボットが多くの労働を代替し、生産コストが限りなくゼロに近づくことで、資本主義の根本的な前提が揺らぎます。

·         新たな評価軸: GDPのような経済指標に代わり、人々の幸福度や環境持続可能性を重視する新しい評価軸が採用されます。

 

3. コモン(共有財)経済社会(「脱所有」志向)

生産手段の私的所有を乗り越え、資源を社会全体で共有・管理する社会を目指します。

·         概要: 資本主義が私的所有を前提とするのに対し、コモン経済では、土地、資源、知識などの重要な財産を社会全体で共有・管理します。

·         特徴:

·         集団所有: 生産手段をコミュニティや社会全体で所有し、管理します。

·         協同組合: 民主的な意思決定に基づいた協同組合が経済活動の中心となります。

·         分散型経済: 中央集権的な巨大企業ではなく、地域に根ざした分散型の経済が発達します。

 

弁証法的止揚としての展望

これらの社会形態は、互酬性の精神(テーゼ)が交換経済の発展(アンチテーゼ)によって否定され、その対立を乗り越えた(ジンテーゼ)ものとして捉えることができます。

·         互酬性の精神: 贈与や共有といった原始的な相互扶助の精神。

·         交換経済の発展: 市場原理や貨幣による合理的な効率性を追求。

·         弁証法的止揚:

·         交換経済がもたらした技術や生産性の向上を享受しつつ、

·         利己的な競争原理や格差といった負の側面を克服し、

·         互酬性の精神を、より高度で複雑な社会システムの中で再生させる。

最終的にどのような社会が創造されるかは、技術革新、環境問題、社会意識の変化など、様々な要因に左右されます。

しかし、これらのモデルは、持続可能で公正な社会を目指す上で、重要な示唆を与えてくれるでしょう。

 

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