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世界史を観る新たな視点
世界システム論 文化人類学

 イマニュエル・ウォーラーステインが提唱した世界システム論とは、近代の歴史を「近代世界システム」という単一の資本主義的システムとして捉え、その内部を中核(core)、半周辺(semi-periphery)、**周辺(periphery)**に階層的に分類し、各地域の経済的役割と相互関係から世界全体の動きを分析する理論です。これは、国家単位の分析や冷戦構造といった二項対立的な視点を批判し、世界をグローバルなシステムとして統合的に理解しようとするものです。

主な特徴
• 分析単位の変更:国民国家を分析単位とするのではなく、世界経済そのものを分析単位とする。
• 階層構造の存在:開発度の高い「中核」、低開発の「周辺」、そして両者の中間に位置する「半周辺」という3つの地域区分を設定し、それぞれが異なる役割と労働管理方式を持つとする。
• 近代世界システムの成立:16世紀の大航海時代に始まり、ヨーロッパ世界経済システムが形成され、それが資本主義的システムとして世界全体に広がっていったと説明する。
• 資本蓄積の推進:このシステム全体が資本蓄積を至上命題としており、中核地域が支配的な役割を果たし、周辺地域が資源供給や労働力提供で従属する関係を強調する。
• 社会科学の批判的統合:歴史学と社会科学(経済学、政治学など)の断絶を批判し、現代世界を理解するためには、過去の歴史的文脈を含めた長期的・地球規模の視点が必要だと主張する。
具体例

• 中核地域:高い人口密度、集約的農業、自由な労働契約など、工業化と商業資本の発展を特徴とする。
• 周辺地域:奴隷制による強制労働や換金作物の栽培が特徴で、中核地域への資源供給を担う。
• 半周辺地域:分益小作制のような両者の中間形態の労働管理方式が見られ、中核と周辺の橋渡し的な役割を果たす。


ウォーラーステインの目的
社会科学を統合し、グローバルな視点から歴史と現代社会の複雑な問題を分析することで、システムそのものの変革を目指すことを目的とした理論です。

有名な人類学者は、文化人類学の父と称されるエドワード・バーネット・タイラーや、構造主義を提唱したクロード・レヴィ=ストロース、日本民俗学の開拓者である柳田國男などが挙げられます。
その他、20世紀前半に大きな影響力を持ったアメリカの文化人類学者アルフレッド・L・クローバーや、アメリカの文化人類学者で「人類学の母」とも呼ばれるマーガレット・ミードも有名です。

海外の有名な人類学者
• エドワード・バーネット・タイラー:イギリスの文化人類学者で、「文化人類学の父」と呼ばれています。宗教の起源についてアニミズムを提唱しました。
• クロード・レヴィ=ストロース:20世紀の人類学者で、構造主義を提唱しました。
• マーガレット・ミード:アメリカの文化人類学者で、数多くのフィールドワークで知られ、「人類学の母」とも呼ばれています。
• アルフレッド・L・クローバー:アメリカの文化人類学者で、20世紀前半に最も影響力の大きかった人物の一人です。
日本の有名な人類学者
• 柳田國男:日本民俗学の開拓者です。『遠野物語』などの著作で知られています。
• 栗本慎一郎:経済人類学・評論家で、経済学者、政治家など多岐にわたる活動をしました。
• 中沢新一:宗教史学者・文化人類学者です。『チベットのモーツァルト』などの著作があります。

日本の有名な人類学者
• 柳田國男:日本民俗学の開拓者です。『遠野物語』などの著作で知られています。
• 栗本慎一郎:経済人類学・評論家で、経済学者、政治家など多岐にわたる活動をしました。
• 中沢新一:宗教史学者・文化人類学者です。『チベットのモーツァルト』などの著作があります。
• 川田順造:文化人類学者で、「構造主義の祖」であるレヴィ=ストロースに師事しました。口頭伝承論や「文化の三角測量」の研究で知られています。
• 小川さやか:現在活躍する文化人類学者で、『チョンキンマンションのボスは知っている―アングラ経済の人類学』が知られています。


それは19世紀末から20世紀初頭にかけての時期に欧米で生まれた。 とくにアメリカの人類学は、研究対象としての「他者」を①自然人類学、②考古学、③文化人類学、④言語人類学という四つの分野から多角的に考察するようデザインされている。


文化人類学
シドニー・ミンツ
甘さと権力 砂糖が語る近代史

砂糖は産業革命の原動力となり、その甘さは人々のアイデンティティや社会をも変えていった。モノから見る世界史の名著をついに文庫化。解説 川北稔

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われわれが生きている社会や文化は、どのようにして形成されてきたのだろうか。その問いに砂糖を素材にして明確に答えたのが本書だ。世界中の人々にとってなくてはならないものとなった砂糖は、世界最初期の工場生産物として生産され、その収益が産業革命を引き起こす大きな要因となり、かつまた労働者の栄養源ともなって工業化を支えた。それと同時に人々の嗜好はこの甘さによって大きく変わり、社会も劇的に変わっていく。しかしその一方で砂糖生産国は、世界商品となった砂糖に隷従する道を運命づけられることになる。モノを通して世界史を語る先駆けとなった世界的名著を、ついに文庫化。


【目次】
第1章:食物・社会性・砂糖
主食=中心と薬味=周辺/ヒトは甘党か第2章:生産
砂糖はコーランに従う/新世界の先駆者スペイン/イギリスの「砂糖諸島」/早咲きの工業化―プランテーション/プランテーション・世界システム・資本主義/砂糖と自由貿易
第3章:消費
砂糖の用途/特権階級の香料/ステイタスの象徴―砂糖デコレーション/砂糖をきらさない薬屋/茶と砂糖/労働者の甘いデザート(「スウィート」)の成立/イギリス人の虫歯とアルコール「/ハイ・ティー」から「中休み(ティー・ブレイク)」へ
第4章:権力
消費の拡大と権力/砂糖をめぐる諸勢力/生活の変化、あるいは工業化
第5章:食べることと生きること
現代社会の消費とアイデンティティ

訳者あとがき
文庫版訳者あとがき:民衆の生活と世界システム—歴史の手法


砂糖の世界史 川北 稔

茶や綿織物とならぶ「世界商品」砂糖.この,甘くて白くて誰もが好むひとつのモノにスポットをあて,近代以降の世界史の流れをダイナミックに描く.大航海時代,植民地,プランテーション,奴隷制度,三角貿易,産業革命―教科書に出てくる用語が相互につながって,いきいきと動き出すかのよう.世界史Aを学ぶ人は必読


まとめ 

砂糖は歴史を動かす重要な商品であり、その生産と貿易は世界各地で大きな影響を与えました。
砂糖の始まり: 16世紀以降、砂糖は世界の商品となり、巨大な利益を生み出す競争が始まりました。1
ヨーロッパへの砂糖の導入: ポルトガル人がアフリカから黒人奴隷を連れてきてブラジルで砂糖プランテーションを始め、16世紀にはブラジルが世界の砂糖生産の中心となりました。2
カリブ海の砂糖生産: 17世紀にはカリブ海が砂糖生産の中心となり、アフリカ人奴隷を大量に導入した「砂糖革命」が起こりました。3
紅茶と砂糖の普及: 砂糖は紅茶やコーヒーとともに広まり、特にイギリスでは貴族から庶民にまで普及しました。4
コーヒーハウスの文化: 17世紀後半から18世紀にかけて、イギリスの都市でコーヒーハウスが情報の中心となり、近代文化が育まれました。5
茶とコーヒーの普及の違い: 紅茶はイギリスで広まり、コーヒーはフランスで普及しました。アメリカでは独立後にコーヒーが主流となりました。6
砂糖と奴隷貿易: 18世紀にはイギリスが砂糖と奴隷貿易を通じて世界貿易の支配権を握り、豊かな社会を築きました。7
ビートの挑戦: 砂糖きび以外の砂糖生産方法としてビートが開発され、現代の糖生産の60%を占めていますが、砂糖の歴史的使命は終わりつつあります。8

通り一遍の知識の羅列としての世界史ではなく、整合性のある歴史像を得るためには、こういう優れた史書を通読するべきだと思う。中高校生時代に、頑張って読んでおくと大人になったとき、他者の言説に簡単に騙されなくなるのではないか、と考えさせられた。
 クロムウェル政権がやらかした諸々のことが、後々のイギリス史、世界史に並々ならぬ帰結をもたらしている。この政権については宗教色を抜いて改めて慎重な検討が必要だろう。
 現代の我々にとって、《自由貿易》とか《グローバリゼーション》が歴史上いかなる“機能”を担ってきたのかを再考するのに、最適な本だ。

 

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