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国会質疑 主要な論点 補正予算審議

2025-12-5

質疑の主要な論点とわかりやすい解説

この質疑応答の主要な論点は、国の**「借金(債務)の捉え方」「予算の質」**の二点に集約されます。

  1. 国の債務(借金)の表現方法とその実態

論点

上田議員の主張

片山大臣の認識

国の借金(債務)

政府は負債総額(約1,474兆円)ばかりを強調し、資産(約778兆円)を無視している。資産を考慮した純債務(約696兆円)こそが実態に近い額ではないか [06:48][11:17]

財政状況は総債務(負債全体)や純債務(負債から資産を差し引いた額)など、多様な指標を用いて多角的に評価する必要がある [04:32]。ただし、財務省は予算査定側としてディフェンシブになりがちで、借金が強調される傾向があることは認める [12:36]

わかりやすい解説

銀行が企業に融資する際、借金(負債)だけでなく、その企業が持つ現金や不動産(資産)を考慮して信用力を判断します。上田議員は、日本国も同様に、資産を考慮した**「純債務」の数字を重視すべきだと主張しました。政府が「借金だけ**」を強調するのは、国民の間に財政危機感を煽り、増税や緊縮財政の根拠としたい意図があるのではないかという問題提起です。

2. 巨額化する「基金事業」と予算の質の低下

論点

上田議員の主張

片山大臣の認識

基金事業の問題

基金(特定の目的に資金をプールする制度)の残高(約17.6兆円)が巨額化している [10:04]。特に事業費がゼロの基金が横行しており、事業の中身がないまま予算の「枠だけ」を押さえる**「隠れ蓑」**と化している [13:35]

予算の単年度主義の弊害や、基金の管理の必要性は認識している [15:31]。政府として、基金の設置期限の設定や、使途見込みのない資金の国庫返納を原則化するなど、改善に努めている [16:01]

わかりやすい解説

基金は、数年間にわたる長期的な事業のために、年度をまたいで資金を使えるようにする仕組みです。しかし、実際には使い切れないまま多額の資金が残り続け、さらに**「事業を具体的にいつ、何をするか」**が決まっていないのに、とりあえず予算を確保するために基金が作られている(事業費ゼロ)という点が問題視されました。これは、国民から集めた税金が、具体的な成果につながらないまま「国庫の金庫」に眠っている状態であり、「予算の質」を低下させているという批判です。

3. 予算の「不用額・繰越額」と「補正予算」の不均衡

論点

上田議員の主張

大臣の認識

予算執行の問題

決算で使われずに済んだ不用額や、翌年度に持ち越された繰越額が、コロナ前後から増加傾向にある [17:50]。これは、予算の立て方が甘いか、予算が大きすぎたことを示している。

介護保険の需要人数のズレや、大学修学支援金の目標未達、国債費の金利予測のズレなど、予測が難しい社会保障費や国際費の影響が大きい [18:33]。できるだけ予測精度を高める努力はする。

補正予算の問題

本来、当初予算で予測できなかった事態に対応するための補正予算が、今や当初予算と全く別の予算のように、巨額(10兆円超)で組まれている [20:25]。これは、当初予算の精度が低いことの裏返しであり、予算編成のあり方自体に問題がある。

補正予算が当初の予算と乖離している点について、正面からの明確な回答は避けつつも、予算の作り方についての問題意識は共有する姿勢を見せた [15:31]

わかりやすい解説

上田議員は、国が毎年多額の予算を「使い残し」(不用額・繰越額)がある一方で、次々と巨額の**「補正予算」**を組んでいる現状を批判しました。

  • 不用額・繰越額の増加:「当初予算」の計画が甘いか、規模が大きすぎるため、年度末に使い残しが発生している。
  • 補正予算の巨大化:本来「補正」つまり修正であるはずの予算が、もう一つの巨大な「本予算」のようになり、本来の目的(緊急事態への対応)を超えて使われている。

このことから、政府の予算編成プロセスが形骸化し、国民の税金を効率的・計画的に使えていないのではないか、という点が重要な論点となりました。

結論:質疑の意図

上田議員の質疑は、政府(財務省)が「国民の借金」をことさら強調する裏側で、国の持つ資産を適切に評価していないこと、そして不透明で非効率な予算執行、特に基金補正予算の運用によって、予算の質が低下しているという構造的な問題に焦点を当てた、高度な財政議論でした。

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