ぶらり、散歩に読書 ミチクサノオト

夏川草介『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』梗概

2026-7-3 散歩に読書 ミチクサノオト
 読書メモをベースに、構成・タイトルのブログ記事を作成しました。
メモにある「現役医師のリアルな視点」「重いテーマなのに爽やかな読後感」「より良いGOAL(死)への導き」といった、深く共感されたポイントがしっかりと伝わるように整理しています。
【書評】夏川草介『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』が教えてくれる、高齢者医療のリアルと「より良い最期」
 こんにちは! 今回は、私が一気に読み進めてしまった一冊、夏川草介さんの『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』をご紹介します。
『神様のカルテ』シリーズでも知られる現役医師の著者ですが、本作はこれまでの作品以上に**「患者、家族、そして医療従事者の最も近い距離」**にスポットを当てた、優しくも深く考えさせられる名作でした。
本の詳細情報
* タイトル:『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』
* 著者: 夏川草介
* 出版社:角川文庫
* 発売日: 2022年3月23日
* 価格: 990円(税込)
あらすじ:舞台は信州・安曇野の地域医療
主人公の美琴は、松本市郊外にある「梓川病院」に勤めて3年目の看護師。
 彼女が一緒に働くことになったのは、どこか風変わりな研修医の桂(かつら)。
二人が日々向き合うのは、地域医療ならではの高齢の患者さんたち、そしてその家族です。
> 口から物が食べられなくなったら寿命、というかつての常識を変えた「胃瘻(いろう)」の登場。
> 「できることは全部やってほしい」と願う患者の家族。
> 「老人医療とは何か?」「生きることと死んでいることの差はどこにあるのか?」
理想と現実のギャップに悩み、命の終わりに寄り添う中で、心を削られそうになりながらも健気に成長していく若い二人の姿が描かれています。
【感想】重いテーマのはずなのに、なぜか「爽やか」
 夏川草介さんの作品は、これまでにも「医師の働き方改革」に通じる過酷な現場の実情や、苦悩する医師たちの姿がリアルに描かれてきました。
 本作はさらに一歩踏み込んで、高齢者医療の限界という現代社会が目を背けがちな重いテーマを扱っています。それにもかかわらず、読み終わったあとには不思議とすうっと心が晴れるような、爽やかな読後感が残るのです。
 それはきっと、安曇野の美しい大自然や可憐な花たちの描写、そして何より著者自身が現役医師として現場で感じている「温かい眼差し」が物語の根底にあるからだと思います。
  「死」は敗北ではない
著者の夏川さんは、インタビューでこのように語っています。
>"私自身、医者になって15〜6年経つのですが、その間、ずっと感じてきたのは今の社会は「死」と正面から向き合っていないのではないかということでした。ただこの問題を『神様のカルテ』シリーズに入れ込むにはあまりにもテーマが重すぎたので、書くとすれば別の物語でというのは考えていました。"
> (カドブン インタビューより引用)
>
 現代の私たちは、どこか「死」をタブー視したり、遠ざけたりしていないでしょうか。
この本を読んで強く感じたのは、医療の現場が目指しているものは、単に寿命を延ばすことだけではなく、「より良い生(日常)から、より良いGOAL(死)への導き」なのではないか、ということです。
 命の終わりは決して敗北ではない。そのメッセージが、私たちの心にそっと寄り添ってくれます。
ドラマ化もされた、いま読むべき一冊
実はこの作品、NHKのBSでも全8話でドラマ化され、大きな反響を呼びました。
「病気を治して笑顔で退院してほしい」という青雲の志を持った若者たちが、理想とはかけ離れた現実と戦いながら進む姿は、映像でも多くの人の涙を誘いました。
 患者側の読者としても、「もし自分や家族の身に起きたらどうするか」を深く考えさせられるきっかけになるはずです。
* 最近ちょっと心が疲れている方
* 「生きること・看取ること」について考えてみたい方
* 医療ドラマやヒューマンストーリーが好きな方
柔らかく優しい筆致で、最も大切なテーマに触れさせてくれる一冊です。ぜひ手に取ってみてください!

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