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世界史の学び方③ 10のテーゼ (抜粋)

世界史の学び方③ 10のテーゼ (抜粋)
世界史の学び方(まとめ)
1、世界史は、ある問題関心を持って過去に問いかけ、「今、ここで」どう
生きるかを考えるところから始まる。
このような「世界と向き合う世界史」は誰もが行っている。
2、過去へ問いかけた歴史像が結びつくことで、「世界のつながりを考え
る世界史」が生まれる。
この世界史には、
①歴史類型論タイプ、
②歴史構造論タイプ、
③歴史連関分析タイプ
がある。
3、世界史をめぐる歴史実践は、6 つの行為の複合体である。
それは、
①歴史実証、
②歴史解釈、
③歴史批評、
④歴史叙述、
⑤歴史対話、
⑥歴史創造、
である。
歴史実証・解釈・批評からなる歴史叙述は、立場性に左右されるので、
唯一のものに収斂する事はありえない。
ゆえに歴史対話が必要となる。
4、歴史実証・解釈・批評は、事実(ファクト)に基づいているかのチェックを
絶えず必要とする。
例えば、
① 要素分割によるチェック、
② 事実立脚性と論理整合性によるチェック、
③ 部分と全体関係のチェック、
④ 過去と現在の文脈比較のチェック、
⑤ 使用概念の妥当性のチェック、
等がある。
5、歴史対話を行うためには、参加者が安心できる条件が必要である。
その条件は、
① 対話の対象にタブーを作らないこと、
② 参加者の対等性と「命へのリスペクト」が確保されること、
③ 参加者が「自分を相対化する意志」を大切にすることである。
6、歴史対話を活性化させるためには、問いの工夫がなされると良い。
その工夫には、
① 課題発見作用の対話(なぜだろう)、
② 主体化作用の対話(自分とどう関係しているか)、
③ 時空間拡大作用の対話(なんと比較できるか・つながっているか)、
④ 根拠の問い直し作用の対話(その根拠は大丈夫か)、
⑤ 仮説の構築・検証作用の対話(自分自身で論理を組み立てるとどうな
るか)
などがある。
7、歴史実証・解釈・批評の対象のスケールは、「鳥の目」で見た時と、
「蟻の目」で見たときのように、伸び縮みさせたり、組み合わせたりするこ
とができる。
「蟻の目」で見ることにより、歴史の中の人々の行為主体性を探求でき
る。
ただし、対象の選択が恣意的にならないように、複数の主体に着目した
り、立場性を相対化する主体に着目したりするなどの工夫が必要であ
る。
8、歴史叙述をするときには、対象の取り方や用いる論理を柔軟に考えて
みると、新たな可能性が生まれる。
例えば、
① 星座(歴史)を結ぶ星(対象)の選び方を星座が最も鮮明になるように
試行錯誤する。、
② すべての論理を統一せずに矛盾する論理の綱渡り的な並存をさせて
みる、
③ 対象とする過去の人々の問いのオーラ(質感)と自分が向き合ってみ
るなどの工夫があり得る。
9、人間の属性は可変的であり、複合的である。それを画一的に分類す
ることが、世界史上では繰り返されてきた。
歴史叙述・歴史・対話の際に、人間存在の複雑さや多様さを緻密に見
つめることで、社会の差別や対立を乗り越えていく視点を探求できる。
10、世界史の教科書は、1 つの「叙述された歴史「a history 」に過ぎな
い。
世界史を学ぶということは、過去から現在までの様々な「充実された歴
史「historys 」を検討しながら、「私が充実した歴史「My history」を相対
化して練り上げていく営みである。
史学概論の作業工程
「史学概論」はあくまで学問としての歴史学について、趣味として
の歴史や文学・ 経済学などのほかの営みと区別しながら、その目的・
対象 方法を論じています
歴史学の・「作業工程表」という形で学問的手続きに着目してみたい
と思います
① 問題関心をいだいて過去に問いかけ、問題を設定する
② その問題設定に適した事実を発見するために、雑多な史料群の中
からその問題に関係する諸種の史料を選び出す
③ 諸種の史料の記述の検討(史料批判 照合 解釈)によって史料
の背後にある事実を認識(確認 復元 推測)する(この工程は
考証ないし実証と呼ばれる)
④ 考証によって認識され諸事実を素材として、さまざまな事実の間
の関連(因果関連なり相互関連なり)を想定し、諸事実の意味(歴
史的意義)を解釈する
⑤ その想定と解釈の結果として、最初の問題設定についての仮説(命
題)を提示し、その仮説に基づいて歴史像を構築したり、修正し
たりする
このような・「作業工程」を踏まえる歴史学は、宗教・ イデオロギー・
芸術とは明確に区別された・「客観的な科学」の一つであり、それを担
保するのは、事実立脚性と論理整合性です
そして、この二つの判断基準に基づいて、自らの言説を他者と自己
点検の反証にさらし、繰り返し過去に問いかけ、過去を読みなおすこ
とにより、傲慢や卑屈の弊を免れて独善や非寛容に陥る危険性を避
けることができ、この緊張関係においてのみ、歴史学は、学の名に値
するものとなる。
歴史実践の六層構造
歴史研究を含む人々の・「歴史実践」には六層構造があるといえるの
ではないでしょうか
次のように整理してみたいと思います
工程の①〜③をAにまとめ、④をB Cに分化させ、さらに⑤を
D Eに分化させ、Fを新設しています。
A・「歴史実証」問題設定に基づき、諸種の史料の記述を検討(史料批
判・ 照合・ 解釈)することにより、「事実の探求」・(確認・ 復元・ 推測)
を行う。
B・「歴史解釈」事実間の原因と結果のありよう(因果関係)やつなが
り・(連関性・ 構造性)、そして比較した時に浮かび上がるありよう(類
似性・ 相 性)について、問題設定に関わる仮説を構築することによ
り、「連関 構造の探求」を行う
C・「歴史批評」その歴史解釈に基づき、より長い時間軸やより広い空
間軸においてみたときの意義や、現代の世界に対する意義について
「意味の探求」を行う。
D・「歴史叙述」歴史解釈や歴史批評を論理的・ 効果的に表現する・「叙
述の探求」を行う。
E・「歴史対話」以上の営みについて事実立脚性と論理整合性に基づい
て検証を重ね、特に歴史実証の矛盾や歴史解釈の矛盾の上に、歴史批
評や歴史叙述が行われていないか、歴史批評や歴史叙述のあり方が
歴史実証・ 歴史解釈を歪めていないかなどを、他者との協働によって
考察することにより、「検証の探求」を行う。
F・「歴史創造」歴史を参照しながら、自分の生きている位置を見定め、
自分の進むべき道を選択し、自らが歴史主体として生きることによ
り、「行為の探求」を行う。
こうした六層の営みが歴史実践のプロセスを構成して行くのだと
思われます。
歴史研究者の歴史実践は・「歴史実証」から・「歴史創造」までのプロセ
スが連続したり、循環したりする発展構造を持つのに対し、人々の世
界史実践は・「歴史批評」や「歴史叙述」 ・ 「歴史対話」 ・「歴史創造」が
人生のさまざまな局面において非連続的に想起、実践されることに
なります。
その際、人々の・「歴史批評」や「歴史叙述」などの営みは、歴史家
の仕事を参考にしながらも、自分がこれまで重ねてきた人生経験や
世界観と相関しながら生成されるものになるでしょう。
歴史家の・「歴史叙述」は人々の歴史実践のための基礎的な素材を提
供するという意味で、固有の価値を持っていることはいうまでもあ
りません。
しかし人々の・「歴史叙述」もまた、それがそれぞれの人生経験に深
く根ざしているという意味において、固有の価値を持っています。
ことに、「歴史実証」・ 「歴史解釈」では、歴史家の専門的なトレーニ
ングを積んだ分析力が大きな役割を果たすのに対して、歴史をどの
ように意味づけるかという・「歴史批評」においては、それが実践者の
世界観・ 人生観と深く関わるがゆえに、研究者であるかないかにかか
わらず、全ての実践主体の固有の価値を尊重すべきであると考えます。
この故に、先述した図書館ゼミの原則は、高校の教室・「歴史対話」
の原則にもなり得るのです。
① メンバーが対等の立場で対話に参加すること、②学ぶ対象にタブ
ーをつくらないことです
この①は、・「すべてのメンバーどうしと考察の対象とする人々に対し
て、いのちへのリスペクトを持つ」と言い換えてみたいと思います

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